伊豆沼

zabbon2006-09-24


水鳥の保護と湿地的環境の保全を目的として、1971年にイランのカスピ海沿岸のラムサールで関係各国が集まって採択されたラムサール条約というのがあります。
日本では、1980年に釧路湿原が、ついで、1985年に伊豆沼が指定登録湿地になりました。
この2番目に登録された宮城県の伊豆沼は、白鳥の飛来地としても有名なので、鳥好きとしてはいつかは訪れたいところでした。
実は、今年2月に行く予定を立てていたのですが、限りなく黒に近いグレー事件 で計画を断念した、という経緯もあります。なのでよけい、執着&憧憬の念が増してきます。
でも、冬鳥が越冬しているような湖沼の寒さは想像を絶するので、まだ、暖かい季節に下見に行こう、ということになり、この週末、行ってきました。

伊豆沼を巡るコースはこんな感じです。
東北新幹線くりこま高原」駅→サンチュクアリセンター(車で10分)→東北本線新田駅」(徒歩1時間)

下見の目的は、サンチュクアリセンターから新田駅までの1時間の道がどんなか、という点です。
野鳥に会うためには、やはり徒歩が一番。
車や自転車では、鳥たちが驚いて飛んでいってしまうからです。バードウォッチングって、静けさの中で自然の音と光を楽しみながらの散歩と野鳥との出会いの両方が楽しめる、かなり密度濃い大人のレジャーなんだと思います。

サンチュクアリセンター→新田駅までの1時間の道は、とても楽しかったです。
一車線くらいの幅の道路を挟んで、右手に伊豆沼(写真)、左手にたわわに稲穂が実った水田が見えます。
伊豆沼には、たぶん、日本で越冬したと思われる3羽の白鳥をはじめ、アオサギダイサギがいましたし、水田にはポツリポツリと白いサギ類が佇んでいました。沼地の風景と、広い水田の風景が一度に楽しめる、とてもぜいたくな眺めです。
伊豆沼にはレンコン畑もあり、今はすっかり散ってしまいましたが、8月には、たくさんのピンクの大きいハスの花が咲いているのが見られますし、これを、ボートに乗って間近から見る、なんてオシャレなレジャーもできるようです。

こんな風に、景色も野鳥もすばらしい土地だったのですが、結論から言って、この冬、ここに白鳥を見に来るのはやめることにしました。
なぜなら、この伊豆沼と田んぼに挟まれた道路の交通量が多すぎるからです。
どうやら、この伊豆沼を車で巡るコースの一部になっているらしく、ひっきりなしに前から後ろから車が来て、エンジン音がうるさいし、排気ガスがいやだし、何より危ないし…、で、落ち着いて歩くことができません。街中に比べれば、決して多すぎる交通量ではありませんが、散歩を楽しむために来た人間にとっては非常なストレスです。
少なくとも、真冬の雪の中、こういう状況の道を歩く気にはなれませんでした。

もし、伊豆沼に湖を歩いて一巡りすることができる、自動車が入ってこない遊歩道があったら、迷わず、冬にも来たと思いますし、そればかりか、他にもたくさんの人が訪れるのではないかと思います。
せっかく、ラムサール条約の指定登録湿地である上に、白鳥にも会える貴重な沼なのに、楽しむことができないのは残念です。
伊豆沼の周りに、車のためだけの道だけではなく、歩きたい人のための遊歩道ができたらいいなぁ、と心の底から思いました。