美の呪力

zabbon2007-05-28

青空に向けて、あるいは自分に向けて、まっすぐに矢を射りこみたいような透明な「怒り」が、具体的に何かに行き当たれば「挑戦」になるんだそう。
怒りや憤りは必ずしも、それ特有の表情で現れ出て来るものではなく、微笑みや慈悲の面持ちであってもおかしくありません。 
一方、挑戦は己の力を試したい、という純粋な自己実現欲求を満たすもので、昔は戦争がその役目を果たしていました。 だから、昔の戦争は、あまり犠牲者がでないような平和で牧歌的なものだったとか。 どちらかと言えば、スポーツや腕試しに近いニュアンスだったようです。
それに比べたら、近代の戦争はあまりにも利己的になってしまい、人間のいのちの猛りや魂からの叫びである怒りのままの「挑戦」を表現し得ない場面になってしまったとか。
いずれにせよ、怒りとか挑戦には、人間が根源的に持つ、成長したいというエネルギーが込められてるようです。
しかし、毎日を平凡に暮らして過ごしていると、怒りや挑戦に、そんな崇高なる自己表現が含まれているなどと考えたこともなく、ただただ、本日の新幹線が15分も遅れたことにふつーに腹を立てた凡人なのであります。
そして、線路に置かれてた異物と異物を置いた誰ぞに、まっすぐに、挑戦ならぬ、抗議をしたいと考える、ありがちな少市民なのであります。
もしかしたら、少しだけ、情けないかも。


それにしても、この本、真っ赤な表紙が印象的。 岡本太郎氏が幼い頃から好きだったという、血を思わせる激しい赤なんだと思います。