苛性ソーダは劇薬

苛性ソーダ、別名・水酸化ナトリウムは、医薬用外劇薬に指定されているので購入に制限がかけられています。 18才以上でないと買えないし、大人だって買う時にはハンコが必要です。薬局に買いに行くと、お店のヒトから所定の用紙を渡されます。それに住所・氏名などを記入してからの押印です。 今の時代、個人情報が何かと取り沙汰されている時代ですが、そんなものにビクともしない、栄えある医薬用外劇薬なのです。
そんな劇薬ですが、石けん作りに欠かせない、苛性ソーダは影の主役クラスの材料なので避けて通るわけにはいきません。 もう、何度も石けんを作っているので、だいぶ安全に扱えるようになりましたが、最初はやっぱり、おそるおそるでした。
苛性ソーダの作り方には、 「水に苛性ソーダを入れる」 っていうのと、「苛性ソーダを入れた容器に水を入れる」という2通りの作り方があって、zabbonはケースバイケースの作り方をしていますが、どちらも苛性ソーダ自体の危険性を考慮した考え方が背景にあります。作り方ひとつにもケンケンガクガクあるくらい、苛性ソーダは慎重に扱うべき劇薬とされているのです。
「キケン」という観点から思いめぐらしてみると、やはり慎重に扱うべき薬品だと思います。
水と混ぜると、80℃前後まで急激に温度が上がるし、同時に発生するガスは肺を激しく突き刺すかのような刺激性を帯びています。 触るとぬるぬるしてなかなか落ちないし、かといって放っておくと山芋にかぶれたように痒くなります。 そういう場合は、お酢を手のひらにとって苛性ソーダがかかったところにまぶすように塗ると、中和作用で症状が緩和します。 そうそう、かき混ぜるのに使った割り箸は茶色く変色してしまいます。
まぁ、油と混ぜた後の石けん生地をPH15の強アルカリするほどの高濃度の苛性ソーダ水なわけですから、そのくらいの「キケン」は当然かもしれません。 
こんなにおっかない劇薬なのに、せんだっての中国の「段ボール紙入り肉まん」を作る際にに使われていた、ということに、心底ギョッとしました。 ニュースでは、「段ボール紙が6割も混ぜられていたこと」が大きく取り上げられているようですが、それよりも「段ボール紙を柔らかくふやかし、それっぽく色づけるために苛性ソーダを使用していた」ということの方が恐ろしいです。 食の安全だなんていう生やさしい問題とは、とうてい思えません。 
あきらかに身体に害のある薬品を、人間が人間に10年間に渡って、何千個もだまして食べさせていた、それも経費削減のために、っていう事実に地の底から寒くなるような思いがしました。