飛び魚

zabbon2006-05-15

スーパーで出会った瞬間、わしづかみにされた心。
飛び魚の前から一歩も動くことができなくなった。

…それは、子どもの頃の思い出。
台所にいた母が私を呼んだので行ってみると、まな板の上にお魚が置いてある。
ここまではいつもの風景。そして、その魚のひれを持ち上げると、あら不思議。大きな透き通ったヒレが羽のよう。そして言う。「zabbonちゃん、これはね、飛び魚と言ってね、この大きな羽で波の上を飛ぶんだよ。絵本で見たでしょ」。5才くらいの小さな子どもには、かなりインパクトのある大きさと姿である。いまでもありありとその光景が頭に浮かぶ。

なので、飛び魚には、「空を飛ぶ魚」という夢とロマン、そして、昔日の思い出が秘められている。魚のショーケースの前で動けなくなってしまったとしても、誰も責めることはできまい。そして、今ひとつ渋る家族を説き伏せて購入へと。

なので、今日はワクワクしながら帰宅。あの羽のようなひれを、もう一度、この目で見ることができる。波間を俊足?で泳ぐ魚の秘密を見ることができる…
とはいえ、ちょっとペラリと広げて眺めた後、任務もあるので、包丁でさばいて塩焼きに。
お味は…、子どもの頃の記憶のその先に「味」がなかった理由も見いだしたのであった。(これ以上は語る必要はあるまい。料理人の腕の問題だと思う。もしくは季節か。)