ねむの木 絶好調!

zabbon2006-08-04

かれこれ1ヶ月以上も前に、ねむの木に大変な災難がふりかかった ので、殺虫剤やら入浴やら、と世話をやいてあげたことがありました。
手当の甲斐あり、今はこんなに元気になりました。
虫はすっかりいなくなり、新しい葉っぱが生えてきました。それだけでなく、この写真は7月末の様子ですが、こんなにたくさんの新しいつぼみがつき、次々と花が咲き始めています! 今年はやっぱり、ねむの木にとって年回りが良い年のようです。
でも、相変わらず、咲き終わって枯れた花が、自らの蜜でペタペタになって、落ちる途中で本体の木にからみつくのは変わりません。なので、この前と同じ災難に見舞われないよう、気をつけてあげています。世話が焼ける…!
ねむの花びらは、針のように細く、そして、その分、とても繊細です。ここにもってきて、ピンク色をしているところが、自然の造形物にしては、できすぎなくらい「可憐」という言葉が似合う花です。音楽に例えれば、ドビュッシーとかショパンとかリストとか。
全ての植物は、自分のなりたい色・形・香りの花を作って、咲かせることができるといいますが、ねむという木は、生存競争に生き残ることよりも、とにかく、かわいくて、きれいで、夢のように儚げな花を咲かせることに情熱をかけているように思われます。その証拠に、花は1日しか持ちません。翌日はもうグンニャリしてきます。どこまでも繊細なのです。
そういえば、ねむのような形をした花は、他には見たことがありません。
それにひきかえ、後からできる実の方は、単なる豆科のそれです。サヤエンドウの小さくて平べったいもので、そんなんだったら、スイートピーやエンドウ豆なんかと一緒です。どう考えても、花に比べて片手間に作ったとしか思えません。
そうそう、香りのことも忘れてはいけません。この形にこれ以上ピッタリしたのはない、というくらい甘くて爽やかな香りです。
…ひょっとしたら、この色と形と香りの花をクリエイトし、何世代にも渡って咲かせ続けるには、植物なりのハイグレードなアーティスト 兼 技術士の技が求められるのかもしれません。他の追随を許さない難易度の高い花、という表現が正しいかどうかはわかりませんが、きっとそうにちがいありません。
しかも、花を咲かせる難易度の問題だけではありません。
「宵越しの『花』は持たない」思い切りの良さ、「スッパリ終わらせる潔さ」といったマインドも問われるわけです。デザインさえ妥協すれば、他の植物のように、長期間、花を咲かせ続けることができるのに、そこを敢えて、このスタイルにこだわるとは、まさに職人気質です。
そう思うと、ねむの木って、他の追随を許さない植物界きっての巨匠であると共に、ひとクセもふたクセもあるガンコ者に違いありません。そういえば、人間界でも、ものすごーく繊細なガラス細工を作り上げるような職人さんって、偏屈ガンコ親父系が多いじゃぁ、ありませんか。(単なる個人的思いこみかもしれませんが。)
ねむの木、恐るべし。
バラや蘭などのゴージャスさに心奪われている場合ではありません。あんなの目じゃありません。真にすごいのは、ねむの木です。
なので、zabbon宅のねむの木が、なんでこんなに花を咲かせたがるのか、そのわけが、少しわかったような気がします。
なので、これからも喜んで、お世話しましょう。