夜中の寒冷前線通過とブナの木

昨日(12日)の晩は、ものすごい風が吹きました。 寝入りばなの眠りが深い、ある意味、ひと晩の睡眠の中で一番いいところを「ドドドドドド…」という轟音で起こされ、不安な気持ちでいっぱいになりました。
目覚めを不安感に襲われる気分は、まことパサパサなものです。 でも、時計を見てみたら、朝まで数時間もあり、それで再び豊かな気持ちになることができました。 まるで、週末の朝、週末であることを忘れて、いつもの時間に目が覚め、「今日も会社かぁ〜、起きなくちゃぁ〜」などと思ったその次の瞬間、「あ、今日は土曜日だ〜!」と歓喜と共に気がついた時と同じ豊かさです。
とにかく、枕に頭をつけたまま、外の音を聞きます。 相変わらず物騒な物音は、外の世界いっぱいに轟き渡っています。自分が住んでいる建物に風がぶつかる音だけではありません。 
この音は一体どこから来るんだろう。大気が打ち震えているのか、世の中の建物全部に当たった風の音が耳に入ってくるのか、空の高いところから鳴り響いてくるのか。 風の音がピークに達する時には、建物もブルブル震えて、まるで地震みたい。
眠いけど怖い、怖いけど眠い…と思ったその時、ベランダの植木が気にかかりました。 特に心配なのが、こういう時に、いつもひっくりかえるブナの木。 植木台に置いているのですが、このブナの背丈が植木鉢に対して高すぎてバランスが悪いから倒れやすいのです。 
最初は、「ま、いっか。」と思っていました。寒いし、眠いし、ひっくり返るとは限らないし。 けど、万一ひっくり返ったら、かわいそう。それに、後始末も面倒くさい。植木鉢が割れでもしたら尚のこと。ベランダ掃除は春までご遠慮させて頂きたいものです。 
けど、面倒くさいし寒いし…、けど、ひっくり返ったら、もっと面倒臭いし…。
こうして悶々グルグル考えた揚げ句、ガバリ!と起きあがり、果敢にもベランダに出て、植木台からブナの植木鉢を降ろしてあげたのでした。 外は思ったよりも明るくて、思ったよりも空気が冷たくなくて、寝間着のままでもなぜだか平気な風と空気でした。 風も少しはおさまっているところで、着ているものが少しパタパタいうくらい。 そして、外が明るかったのは何でだろう。 空に雲がなかったからか、ベランダからは見えない半月が冬の透明な空気に冴え渡っていたからか。
それより何より、なんてブナの木思いのzabbonなんだろう…。 しかし、当のブナの木は、秋に枝を剪定したため、非常にバランスがよくなり、ひっくり返る気配などまるでなかったのが、少しばかり悲しいおまけ。
とはいえ、その後のzabbonの眠りは、最善を尽くした者のみに与えられる満ち足りたものだったと言えるでしょう。