三方良しの近江商人みたいな

会社っていうものは実にたいしたもので、BCPと称す「イザという時」用の事業継続計画というものを平時の時から作り込み、半年ごとに訓練しています。ただ、その担当者曰く「それが活かせる時がこんなに早く来るとは思わなかった。」とのこと。
それのおかげかどうか知りませんが、職場の皆様、通勤が文字通り、朝晩の「痛勤」に他ならなくなってしまっているにも関わらず、律儀に、毎日、職場にやってきて、細々そろりそろりと業務を執り行い、それなりに片づけ、そして、停電で真っ暗になっているかもしれない家に黙々と帰っていく…。そんな鑑のような職場のおじさま達の背中を見ていると、さすがのzabbonも心打たれたらしく、殊勝にも「原発事故はこわいし、イスカンダルは手をさしのべてくれないけれど、まじめに働こう」などという気分になってきたのです。
そんなわけで、2〜3件の延期案件もあるものの、節電で薄暗い職場で、粛々と仕事を片付けていたら、だんだんといつものペースに。
中には、業務上の緊急モードのお願いもあり、それらの緊急オーラに触れると、当然、当方も緊急オーラを発するわけで、そうすると、直下型の余震だの放射性物質だのは、確かにこわいけど、二の次三の次になっていく、この心のメカニズムの不思議。
人間の体というものは、患部が複数ある場合、一番重篤な箇所のみ、その症状を呈すとの説があり、確かにその通り、と思うふしもありますが、心も同様のしくみを持っているようです。
…するってぇと、目の前にあるミッションは、精神安定剤っていうことかも。お金ももらえるありがたいお薬。しかも、そうして頂いたお金を使って、他の会社やお店のお客様になれば、微かですが、世の中にお金が回る手助けになる。あるいは、より多くの義援金に寄付する。これをたくさんの人で行えば、経済が活性化し、復興も早まるはず。
そっか、被災地以外の人は、一生懸命働いて稼いで、いつもよりもお金をたくさん使ってみるというスタイルの貢献の仕方もあるのかもしれません。
…するってぇと、こういう時の仕事っていうものは、三方良しの近江商人みたいなやつだのぅ。