ねぎま鍋

zabbon2006-05-26

週末の今日は、「ねぎま鍋」&冷酒で宴会。
ご近所の、外に呑みに行く楽しげな若いご夫妻を横目で見つつ「それも悪くないけど、でも、うちの『ねぎま鍋』のことを知ったら、あなたがたもきっと羨ましいと思うはずよ。」などと勝手なライバル意識を燃やす。迷惑千万この上なし。
料理に取りかかる前に、念のため、ネットでレシピを検索する。
zabbon家のねぎま鍋は、ストイックに、まぐろ(赤身か中トロ)とネギだけ、と決めているけど、世の中には、お豆腐やきのこが入っている、いわゆる鍋物風なのが多かった。なので、それも一興、と野菜室を探索したが、ブロッコリーチンゲンサイしかない。これじゃあ、江戸の粋といなせは演出できないので、計画の変更を取りやめる。

料理と言っても、とても簡単。
 割り下(つまり鍋の汁)を作る。水と昆布とお醤油とミリンとお酒と塩。
 ネギ(2本)を5㎝くらいに切る。お皿に盛る。
 マグロの柵を、普通のお刺身よりも厚めに切る。ネギの隣に盛りつける。
以上。…なのである。

そして、宴会の始まり。
しゃぶしゃぶの要領でまぐろをお鍋の中に落とし、レアもしくは、ウェルダンで行く。要はどちらもおいしいのである。
薬味は、みょうがとしょうがと柚子胡椒を好きずきに。
これをぱくっとほおばると薬味の香りと共に、まぐろの旨みがジワリと口の中に広がっていく。そして、タイミングを見はからって、冷酒でキュッと締めると、「一週間、頑張ってきた甲斐があったものよ」と因果関係ゼロの感慨の迷路に迷い込み、しばらく帰ってこられない。至福の意味をあらためて知る。
でも、このまぐろの旨みを要とするこの味、もしかしたら、若い方には理解や共感が難しいのではないだろうかと思うくらい、微妙な味わいである。何しろ、これを合コンなんかで供したら、あまりの地味さゆえに、いきなり盛り下がるのは目に見えている。
似たような雰囲気を持つ料理を探してみた。
ふろふき大根、菜の花のおひたし、ふきのとうの天ぷら、こんにゃく田楽、蕪蒸し、(zabbonは食べたことがないけど)ドジョウ鍋、などなど。どれもこれも、静かなお店でしっぽりと向き合い、差しつ差されつ飲み交わすにふさわしい料理である。ねぎま鍋もその一派なのである。(但し、zabbonの家は「しっぽり」とはほど遠い)