勉学の成果(1)

石けんを作るのをしばらく止めていました。
taoさんのデザイン石けんの本で、世に出ている関連書物を読むことの重要性を強く認識、しばらく勉学の道を歩み行こうと決意したからです。

taoさんの本以外に参考にしたのは、最初に手作り石けんを日本に紹介した前田京子さんのこの2冊の合計3冊です。

肌に髪に優しいデザイン石けん―色とカタチのアイデアレシピ34 お風呂の愉しみ オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る―「お風呂の愉しみ」 テキストブック

この3冊を夏休みに熟読。黄色いマーカーなどで線など引きながら、「ほう〜」とか「なぁある」とか「ふむふむ」とか、1人うなずきながら読み込みました。積ん読でも乱読でもなく、正統派の精読です。こんなに熱心に勉強したのは、…もしかして、初めて?
で、いろいろ思うところがあったので、少しずつ書いていきます。

まず、「手作り石けん」というもの。
前田さんの本に、昔は、各家庭で手作りをするものでした、と、ありました。
それを読んで、そういえば、昔、読んだ物語にも手作り石けんのことが書いてたのが、2つほどあったなぁ、と思い出しました。
1つは、「大草原の小さな家」シリーズの「農場の少年」という一冊です。
舞台は、ローラの将来のダンナさんになる少年が住んでいたニューヨークの裕福な農場。ここで、石けんを作る場面と使う場面がありました。使う場面は、真冬のストーブの前。たらいで行水をする時に、茶色くてつるつるした石けん、などとが出てきた記憶が。
農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 (福音館文庫 物語)

もう一つが、始原への旅立ちシリーズの「大陸をかけるエイラ(下?)」だったっけ。温泉が湧く火山地帯に住む人たちが石けんを作っているのですが、それを使うと、シャボン草を使った時よりも、すべすべフンワリ洗い上がると、エイラが感心している場面。
ISBN:4566021238 (表紙の映像がはまぞうにありません…。出版社が変わったせいかな?)

それぞれ、使う場面は覚えているのですが、作る場面は忘れてしまっています。でも、ふと、前に買った「『赤毛のアン』の生活事典」という本のことを思い出しました。これです。
「赤毛のアン」の生活事典
アンの時代だから、19世紀の後半です。(アンは、1914年に50才くらいです。)
各家庭で、石けんだけでなく、いろいろな生活必需品を手作りしていた時代の生活全般が紹介されている、非常に興味深い本です。これだったら、制作プロセスが載っているに違いない、と、あらためてページをたぐってみると、おぉ、やはりあるではないか。石けんの作り方が。
読んでみると、大体こんなことが書いてあります。(ただ、これは、家事に使う石けんであり、入浴に使うとは書いてありません。)
石けんは年に一度、春の季節に家庭で作られるものでした。材料は、獣脂と灰汁で、どちらも廃物利用です。獣脂は料理で余った油。灰汁は暖を取った薪の灰。冬の薪に向いた固い樹木の灰が石けん作りに向いていたそうです。
この2つを、戸外の大鍋でグツグツ煮て、石けん液が透き通ったゼリー状になったのがゼリーソープ。これを煮立てて→塩を入れて更に煮詰める→一晩置く→翌日テレピン油か樹脂を入れる→再び煮立てる→型に入れる→取り出して切り分けて乾かす、というたくさんの手順を踏んでできるのがハードソープ。

アンの時代には、工場で作られるアルカリも手に入ったそうですが、こういう作り方もしていたようです。そして、この作り方は、エイラの3万年前の時代はともかく、「農場の少年」に出てきた石けんも同じなのではないかと思います。

それにしても。ふーむ。
物語にも石けんを作ったり、使ったりする場面があったんだなぁ。
記憶に残っている、ということは、石けんに興味を感じたとか、心を動かされた、とか何らかのインパクトがあったんだろうなぁ、と思いますが、石けん作り、ますます奥深いな、と思えるようになりました。