マルセイユ4号 リバッチの顛末

zabbon2007-01-11

石けん作りの新学期も始まり、期待に胸もふくらみますが、やはり、これを語らなければ、始まりません。
そうです。
マルセイユ4号、すなわち、紫キャベツの初号作のその後です。
この石けん、もしも、あわてずにきちんと精油を入れていたら、こんなことにならなかったでしょう。
その証拠に、ローズとゼラニウムを入れたマルセイユ5号は、ギリギリのところで体面を保っています。(そうじゃない、と反論する諸姉諸兄おられるでしょうが…)
「嗚呼…」などと、と嘆いてばかりもいられません。
これを作ったのが、10月半ばのこと。 その後、問題先送りにしながら待ちましたが、状況は変わらず。
12月初旬、ついに、リバッチの覚悟を決めるところまで追い込まれました。
姿かたちは、こんなにかわいいピンク色の石けんなのに。この匂い、何とする。

リバッチを翌日に控えた12月13日。
意を決して、準備に取りかかります。自らまいた種です。刈り取らなければなりません。
リバッチは、石けん作りの失敗を、なかったことにしてくれる救世主的手段です。やり方は、まず、最初に元の石けんを細かくカットします。
こんな風に。

見るほどに、きれいな石けんです。香りさえよければ、人にあげたら喜ばれるでしょうが、仕方ありません。往生際の悪いことを言っている段階は、終わったのです。


意を決して、水につけます。これで一晩放っておくのです。
そうすると、石けんの切片がふやけて、あとでリバッチがスムースに進むのです。ここまで来たら、もう後戻りはできません。歯車は動き出したのです。


そして、いよいよ当日。
今度は、これを火にかけます。小さい炎で、じっくりと時間をかけるのがポイントだったみたいです…
そのつもりだったんだけど、ガス台の性能のためか、火が通るスピードが速く、お鍋全体の温度が均一ではなく、端っこはまだ温度が低いのに、真ん中はプックリふくらみます。
「ほぉ〜」と思いながら、ながめていると、「プシューッ」という音と共に、白い煙を上げて噴火したのには、たまげました。画面右上を斜めに走る白いもやもやが、その噴煙です。


その後が大変でした。
焦げないようにグルグルかき混ぜると、ブクブク泡が立ってきますし、かといって、ほったらかしておくと焦げ付きます。もっと、低い温度でじっくりゆっくり行うべきでした。
正解は、「湯煎」だったのかもしれませんが、もう後の祭りです。

とにかく、これ以上、加熱するには、にっちもさっちもいかない状況になってしまったので、まだ時期尚早とは思いつつ、香料を混ぜ込みます。
香料は、日本橋高島屋6Fにある「生活の木」で買ったフレグランスオイルのバラです。わざわざ買いに出向きました。
この「上ばき臭さ」に対抗できるのは、バラの香りのフレグランスオイル以外はなかろう、という判断で選びました。(っていうか、精油はもったいなさすぎます)。そして、これを「これでもか!」というくらいたくさん入れました。フレグランスオイルなので、効果が期待できると思いました。
そして、その後、型入れします。 いつもと全く勝手が違って、ボタボタと淀み落ち、ついでに気泡も容赦なく入っていきます。更に、全体の均質感もなく、ムラムラなのが見て取れます。
でも、なすすべもなく、このまま放置。

そして、一週間後のクリスマスの頃。
そろそろ固まったかと思い、牛乳パックを解体したところ…


あっちゃぁ〜。
ドロドロズルズル、流れ落ちてきます。
いつもは、鹸化という作用で固まるのでこんなことは起こりえません。しかし、リバッチでは、すでに石けんになっているものを扱うので、こういうが現象が起きても、おかしくないのです。
とはいえ、この雪崩現象に驚き、焦りまくります。
おそらく、水分過多(どちらかといえば、かきまぜ不足)が原因かと思われます。あわてて型をセロテープ等々で修理して、あとは、視界に入らないところに放置しておくことにしました。


…それから2週間たち、新年明けた、先週半ば。
こんな風になりました。

表面はすっかり乾き、健全な姿を取り戻したかのような佇まいですが、これは偽りの姿です。
依然、内部は、ドロズル状態。 (直接、関係ないですが、左上の四角いのは、マルセイユ5号。目くそ鼻くそです。)
しかも、肝心の匂いが全然消えていないのが、ショックに二重の輪をかけます。
相も変わらず、上履き臭さを強烈に放ち、強烈な印象を投げかけています。紫キャベツの陰謀としかいいようがありません。
何のためのリバッチだったのか…。何のための「生活の木」での買い物だったのか。文字通り、絶句します。

…しばし後、なんとか衝撃から立ち直り、他に転用できないかと、いろいろ考えます。
しかし、この匂い、掃除にしろ炊事にしろ、あまりよろしくありません。やってみて、唯一、OKかも、と思ったのが、セーターの洗濯です。
思えば、食用オリーブオイルを原料とした高級石けん。羊毛素材がうまく洗えないはずはありません。ただし、そのあとの柔軟剤を増やして、匂いをごまかすことを忘れてはいけません。
その他の使い道としては、お風呂場に置いて、ぞうきんを洗うとか…
紫キャベツにも裏切られ、リバッチにも失敗し、踏んだり蹴ったり。今時の言い方だと「OTL(ガックシ)」でしょう。すっかり頭を抱え込んでしまいました。とほほ…
ここは1つ、おもしろがって使うのが、唯一の正解かと思われます…。(涙)

  (「親切なねずみさんが、くわえて持って行ってくれたら嬉しいんだけどなぁ」と密かに願うzabbonです。)