松茸ごはん

zabbon2007-09-17

「清水の舞台から飛び降りる」という枕詞と共に語られるものは、世の中に数多くありますが、松茸ご飯もそのひとつとされてきました。 しかし、経済のグローバル化と共に庶民の口に全く入らないものではなくなり、従って、zabbon宅でも本日は、カナダ産松茸にて松茸ご飯と相成りました。 
カナダ産松茸は、色は薄くて形もいびつ、数ある外国産松茸の中でも一番、松茸らしくない風貌を携えていますが、しかし、香りが一番いい、と言われています。 香り松茸、というくらいですから、見た感じの違和感など、取るに足らない問題点でしょう。ノープロブレムです。 今回買い求めたのは、4本で2000円弱。 まぁまぁのお値段です。 国産(特に京都あたり)のなどは、2本で10000円などという(いや、もっと高いのか?縁がないからわかりません) 、アンビリーバボーなエクスペンシブ・プライスを奉じておりますから〜。 とにかく、この単価500円弱の松茸を形が残るようにカッティングする、というあり得ない贅沢使いをしてみました。他に具材は銀杏のみ。贅沢かつシンプル路線です。 
…思い出すのは、中坊の頃、一度だけ、母が作ってくれた松茸ご飯。 しかし、メイン具材の他に、にんじん、レンコン、ゴボウ、油揚げ等々で目くらましをかけており、どれがウワサの松茸なのか追跡不能な状態でした。 「全然、わかんない」と苦情を申し立てたところ、「あら、フワーっといい香りがしてるじゃない。」とのこと。しかし、どう食べても、普通のかやくご飯と一緒。「うーん、まだ、子供だからわからないんだ」と自らを納得させましたが、その結果、松茸ご飯は、さほど旨いもんではないもんだ、と結論づけ、そのまま大人になってしまいました。 たぶん、このあたりの印象・感想・イメージは、妹のponkan(一昨日、ponkanからdekoponに改称、しかし、本日、ponkanに戻す)も同様なのではないかと思われます。 ニッポンはまだ、そういう時代だったのです。
しかし、本日の松茸ご飯は違います。 何と言っても、形が残っている松茸です。サザエさんで出てきたような、鼻息でフワリと舞い上がるような薄切りではありません。そこそこの厚さです。 炊いている間も台所とその続きの居間中に、いい香りが漂います。 松茸の香りって、途中までは、普通のきのこと同じ感じなのですが、このあたりでもう香りも終わりだろう、と思うタイミングで、お花のようなアロマを含んだ濃厚な香りがグッとせり上がってくるところがすごい! 言ってみれば、立体感と底力のある香り。 おいしいワインって、ひとくち飲むと後から香りが鼻を抜けてパーッと広がりますが、それと似た感じ。 香りで唸らせるものって、飲み物部門・食べ物部門問わず、最後に主役が突如として現れ、朗々と歌い上げて余韻を残して去っていくもんなんだなぁ、と思います。
こんなにいい香りなら、カナダ生まれだろうが、ブラジル生まれだろうが、全然構いません。 一説によれば、松茸の香りを愛でるのは地球上でも日本人だけだとか。よその国では無価値のシロモノ。っていうことは、松茸とは、双方ニッコリ、円満関係に導く平和の使徒とも言えましょう。 末永くグローバル化の中で松茸なおつきあいをさせて頂きとうございます。